京援隊
1)はじめに
今次の、東北大震災は、被害の甚大さ、被災エリアの広さ、
原子力発電所の問題を含め、まさに「国難」です。
東北、東日本に限った話ではなく、日本全体で、考えていく必要があるでしょう。
そんな中で、京援隊は、京都の建築関係の有志によって、立ち上げられました。
住宅、建築関係を中心に、様々に被災地の支援を考えております。
坂本竜馬の海援隊は海から日本を支援し、
中岡慎太郎の陸援隊が陸から日本を支援したのなら、
京都から東北を支援するので、京援隊。
ただし、発会したのが京都であるということで、京都在にはこだわりません。
大阪、神戸、関西、四国、九州、協働してくださる方なら、日本中、世界中大歓迎です。
第1弾の支援プロジェクトとして、「南三陸番屋−SUBACOプロジェクト」を行い、
南三陸志津川地区の地元漁協の方々、有志、宮城大学初め、
関東、関西の建築学科の学生との協働による仮設の番屋建設をサポートし、
そこに組み立て・解体が自在なバス−キッチンユニット「SUBACO」を設置しました。
番屋は5月初旬、一旦の完成を見、6月末、ユニットを設置しました。
番屋の建設費用は、各大学や、地元有志、工務店の材料提供等によってまかなわれていますが、
SUBACOの設置については、製造元である京都の株式会社和光製作所の協力および、
京援隊の活動を支援してくださる、篤志家の方々からの援助によって、行いました。
ただし、京援隊は、被災地にものを送り続けることを目標としているのではありません。
むしろ、自立に向けてのサポートをしてゆきたい。
被災地では様々な情報が錯綜した混乱した状況の中で、
被災者が本当に望むものかどうかを考える以前に、モノが動いて、
時によっては不当な金額で、建築材料や建築費で建物が出来上がっていく状況を、
阪神大震災のときに、多く経験しました。資本主義である限り、ビジネスを否定はしません。
(海援隊が「商社」的側面を持っていたことは有名な事実です)。
そうではなく、然るべき場所に望まれるものが、適正な金額で届けられるような活動をしていきたい。
その中で、多くの方の協力が頂ければ、と考えています。
復興には長い時間がかかるでしょう。しかし、止まない雨はなく、明けない夜もありません。
とにかく前に向かっていきましょう。
みなさまのご支援よろしくお願いします。
京援隊 代表 松本 正 拝
(建築家 (有)キアラ建築研究機関代表)
2)京援隊の支援方針
京援隊は、支援していただいた方に、それがどこに役立ったかがわかる、
「目に見えた」支援を行って行きたいと考えています。
建築の設計をしてきた人間として、例えば500万円〜600万円程度のお金があれば、
9坪〜15坪の広さの木造の家が建てられることは経験的にわかります。
(注:水道、ガス、電気、下水等の引き込み等インフラは別)
現在、仮設住宅の価格が高騰して戸当たり値段が500万円を超えてきていますが、
それに近い金額で、小さくても仮設ではない家は建てられる。、
そうして、そこから徐々に生活が整うにつれて、増築していけばよいのでしょうか。
しかしながら、現在、行政から期待できる補助金は、被災された家それぞれに対して、
全壊指定で150万円、新築資金として200万円の計350万円。(2011/07/01現在)
であれば、被災された方に頑張っていただいても、どうしても、資金が不足する可能性があります。
そこで、京援隊ではどこの地区に家を建てようとしている方がおられるかを、
京援隊のホームページ、フェイスブック等に掲載し、その家を建てるに当たって、
どれだけの資金が足りない、その資金ではどれだけの資材が足りないかを提示し、それに対して皆さんと一緒に支援していきたい。
お金でもいい、建築資材でもいい、「行って建てるの手伝うゾ!」でもいい、
支援していただいた方にとっても、自身の支援したお金、材料が、どこで役に立ったかがはっきりとわかる。
復興のグランドビジョンも大切なことだと思います。
しかし、我々は、まず一人でもひと家族でも、新しい家で新しい生活をスタートさせる、「人の見える」支援を行いたいと考えています。